Column

Vol-003

2024.9.6

Drive it, if you can !!

現在上演中の『キャッチミー』は僕にとって4度目のミュージカル。


ご縁のない世界だろうと鷹を括っていたけれど某大御所アレンジャーピアニストからのお声がけで

お断りしきれず、初めて参加したのが2020年初頭から始まった『Chess』だった。

オケリハーサルの初日に本気で逃げ出そうかと思った。というかその前にクビになるのではないかと…

心底恐れた。

曲が難しいこと、専門用語がわからないこと、指揮の捉え方に慣れていないこと、矢継ぎ早にやって来る次の曲への心構えを作る間がないこと。

正に四面楚歌。

真っ黒になった譜面が、そのストーリーが、ようやく体に馴染始めた頃に迎えた緊張の初日。

生涯忘れられない僕の大切な音楽体験の一つになった。

その時に指揮を務めておられたのが上垣聡さん。

今回の『キャッチミー』のマエストロ、そのお方である。

スコアやストーリーの細部に及ぶ理解はもちろん、時々で変化するキャスト陣の歌や芝居の呼吸を読み取ることのみならず、果ては演奏者それぞれのクセや調子までも感じ取りながら、その最適解をコンマ何秒のタイミングで指揮するのだから、凄まじい仕事だ。

彼の右手にハイハットを打つスティックを持たせたなら、それはそれはシュアーで素敵なリズムが紡ぎ出されるに違いない…

なんて、うっとり夢見心地でいると譜面から落っこちる。全く油断も隙もない世界なのだ。

どこまで隅々にまでアンテナを張れるか?

これはドラマーにとっても最も大切なことの一つ。

そこにカラダが見事に同期すると、、

お金を払ってでも味わいたい悦びの時がやって来る。

こんな事を初日から大千穐楽まで何十回も繰り返すのだから本当にタフなお仕事だけど

この膨大な数のカンパニー全員が一つになって舞台を成功させた時の感動は、、何ものにも変え難い。

上垣さん、乗ってるクルマもまたこれがエレガントなんだな。。一昨日納車したばかりというあのクルマ。

僕はアストンマーチンがいいな…

もう60歳だし。世間的に違和感はないだろう。

先ずは大千穐楽までこの舞台を最高にドライブさせなければ!

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